たとえば、ある社員が50歳になったときに、いきなり成果主義賃金が導入されることになったとすればどうであろうか。これも、社員としては、期待権の侵害と言いたくなるであろう。成果主義の導入は、実際上は、若いときの「貸し」を返してもらうために水増しされているベテラン社員の給料を返納するということになりかねないからである。法的には、成果主義賃金制の導入も、就業規則の不利益変更ということになり、変更の合理性が必要となる。
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合理性の判断は裁判官の裁量が大きいので、裁判になると、やはり会社が必ず勝てるとは限らない。年功賃金は、労働者の生産性と給料との関係を、長期的な観点から(「暗黙の約束」を通して)整合性をもたせる制度ということができる。これを修正していくのは、法的には必ずしも容易でない。年功賃金が存続する以上、定年制を不要とすることは難しい。