韓国社会の教育に対する過熱ぶりの裏に

2012.01.07

非正規雇用については、解雇が自由に行えることに加え、賃金コストや医療保険負担などが格段に低いため、韓国の大企業は、正規雇用の採用を手控え、非正規雇用を増やす方向に大きく変化している。つまり、韓国の労働市場の柔軟性が進展したのも、非正規雇用の増大によってもたらされたのである。この点は、日本と同じである。日本以上に非正坦雇用のウェイトは高く、雇用者の半分を占める結果となっている(〇三年)。ちなみに、日本の非正規雇用のウェイトは三割程度である。

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韓国の若年層の失業率は、二〇〇〇年に入って上昇している。全体の失業率が三・六%であるのに対し、若年失業率(十五上一十四歳)は一〇%の水準となっている(〇四年)。全体の数字はそれほど高いものではないが、若年雇用情勢は深刻である。日本以上に雇用の二極化が進行しつつある。正規雇用と非正規雇用との間の所得格差が拡大しつつあることに加え、人的投資をともなわない非正規雇用の増加が韓国経済の将来に暗い影を投げかけている。こうした二極化現象は、韓国人の教育に対する対応に影響を与えている。学歴社会の強まりが一層先鋭化している。日本でもひところ、学歴社会の弊害が騒がれたことがあった。有名大学への入学が、そのまま一流企業への切符となることから、幼児の頃から有名幼稚園に入園させるといった現象が見られた。韓国の場合は、大企業が正規雇用の採用を減らし、優秀な人間だけを採用している。大企業への就職は困難をきわめている。その結果、今日では国内で有名大学を卒業しただけでは、一流企業への切符を手にしたことにならない。そのため、国内の一流大学を卒業後、アメリカに留学してMBA(経営学修士)などの学位を取る者が増えている。それほどまでに熾烈な学歴社会になりつつある。日本でも、時折り報道される韓国社会の教育に対する過熱ぶりの裏には、そうした背景が隠されていたのである。正規雇用保護による若年雇用市場の歪みが、青少年の教育面に凝縮して暗い影を落とす結果になっている。韓国の若年雇用問題の根源には、強い雇用保護規制が存在している。根源を正さずに、弥縫策で対応すると、その負担が一般庶民にいかに過酷な形で跳ね返ってくるかがこの例に示されている。韓国若年雇用の実態は、日本にとって他山の石と言えよう。